導入:なぜあなたのゲームはカクつくのか?
Godot Engineで開発を進める中で、多くの開発者が直面する壁、それがフレームレート(FPS)の不安定さです。特にアクションゲームや多数のオブジェクトが動くシーンで発生する「カクつき」や「ジッター」は、プレイヤーの没入感を著しく損ない、ゲームの品質を根本から揺るがします。
「V-Syncを有効にしたのに滑らかにならない」「_processと_physics_processの使い分けが分からない」「最適化のためにObject Poolingを導入すべきか迷っている」…こうした悩みは、Godotのレンダリングと物理演算の仕組みを深く理解することで解決できます。
この記事は、単なる機能紹介に留まりません。FPSが不安定になる根本原因を解き明かし、具体的な解決策を実践的なコードと表形式の比較で徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたは以下の知識を習得し、自信を持ってパフォーマンス最適化に取り組めるようになります。
- 課題解決: FPSの不安定さ(ジッター)を解消する「物理補間」の具体的な実装方法を学べる。
- 正しい理解: Godotの物理演算と描画の仕組み、そして
deltaの正しい使い方を完全に理解できる。 - 的確な判断: プロファイリングに基づき、Object Poolingなどの最適化手法をいつ、どのように適用すべきか判断できるようになる。
- 実践的知識: V-Syncの各モードの違いや
Engine.max_fpsの活用法など、一歩進んだフレームレート管理術を習得できる。
FPSが不安定になる根本原因:物理ティック vs レンダリングフレーム
Godotにおけるパフォーマンス問題を理解する鍵は、物理ティック(Physics Tick) とレンダリングフレーム(Rendering Frame) という2つの独立したサイクルの違いを認識することです。この非同期性が、ジッターの直接的な原因となります。
| 概念 | 物理ティック (Physics Tick) | レンダリングフレーム (Rendering Frame) |
|---|---|---|
| 役割 | 物理演算、衝突判定 (_physics_process) | 画面描画、入力処理 (_process) |
| 実行頻度 | 固定 (デフォルト60Hz) | 可変 (ハードウェア性能、V-Sync設定に依存) |
| 目的 | 物理シミュレーションの再現性と一貫性を保証 | 可能な限り滑らかな映像をプレイヤーに提供 |
delta | 固定値 (1 / 物理ティックレート) | 可変値 (前のフレームからの経過時間) |
なぜジッターが起きるのか?