【Unity】Unity レンダーパイプライン入門:Built-in / URP / HDRPの違いと選び方

作成: 2026-02-05最終更新: 2026-07-13

Unityの3種類のレンダーパイプライン(Built-in、URP、HDRP)の違いと選び方を解説。パフォーマンス比較、機能比較、プロジェクトに最適なパイプラインの選定方法を紹介します。

Unityで新規プロジェクトを作ろうとして、テンプレート選択画面で手が止まる。「2D」「3D」はわかるけれど、「URP」「HDRP」って何? どれを選べばいいの?——最初の画面からいきなり突きつけられる、Unity入門最初の分岐点です。

これは レンダーパイプライン——3D/2Dオブジェクトを画面に描画する「仕組み」の選択です。ライティング・シャドウ・ポストプロセッシングの処理方式がここで決まり、あとから変更するには手間がかかるため、最初に違いを知って選ぶのが一番安上がりです。この記事で3種類の違いと選び方を整理します。

レンダーパイプラインのイメージ。3つの描画工場ラインの対比。シンプルな旧式ライン(Built-in)、軽快で速い現代的なライン(URP)、大型で重厚なライン(HDRP)

この記事でわかること

  • 3種類のパイプライン——Built-in / URP / HDRPの特徴と違い
  • プラットフォーム対応・機能・パフォーマンスの比較表
  • 迷わないための選び方のガイドライン(結論: 迷ったらURP)
  • Built-in→URPの移行手順と注意点
  • 実践:自分のプロジェクトでどれを選ぶか診断する

動作確認環境: Unity 2022.3 LTS / Unity 6

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3種類のレンダーパイプライン

Unityには3種類のレンダーパイプラインがあります。

3種類のレンダーパイプラインの比較。Built-in=従来のデフォルトで新機能なし、URP=軽量・全プラットフォームで新規はまずこれ、HDRP=写実表現のハイエンド専用でモバイル非対応
パイプライン特徴主な用途
Built-in従来のデフォルト、シンプルレガシープロジェクト、ゲームジャム
URP軽量・最適化、幅広い対応モバイル、VR、新規プロジェクト全般
HDRPハイエンド、写実的表現AAAタイトル、建築ビジュアライゼーション

カスタムSRP: Unityでは独自のレンダーパイプラインを構築することも可能(Scriptable Render Pipeline)ですが、上級者向けのため本記事では扱いません。

比較表

表現力・パフォーマンス

項目Built-inURPHDRP
表現力◎(最高)
パフォーマンス◎(最軽量)△(重い)
新機能対応×

この関係は、「軽さ」と「表現力」のトレードオフとして1枚の図にまとめられます。

レンダーパイプラインのポジショニング図。横軸がパフォーマンス負荷(軽い→重い)、縦軸が表現力(→高い)で、URPは軽くて表現力もそこそこ高い左上、Built-inは中間、HDRPは重いが表現力最高の右上に位置する

URPが「軽さと表現力のバランスが良い」ため新規プロジェクトの第一候補になり、HDRPは「表現力最高だが重い」ため用途を選ぶ——この位置関係が選び方の土台です。

プラットフォームサポート

プラットフォームBuilt-inURPHDRP
Windows/Mac/Linux
iOS/Android×
Switch×
WebGL×
PlayStation/Xbox
VR(デスクトップ)
VR(モバイル)×

Built-in Render Pipeline

特徴

Unityの従来からあるデフォルトのレンダーパイプラインです。

  • シンプルで使いやすい
  • 難しいことを考えなくても使える
  • 古いアセットとの互換性が高い
  • 長年使われてきた実績がある
  • 新機能の追加予定はない

利点

  • セットアップが不要
  • 学習コストが低い
  • 古いアセットがそのまま使える
  • 情報が豊富
  • トラブルシューティングが容易

欠点

  • 描画が最適化されていない(Batchesが多い)
  • VFX Graph、2Dライティングなどの新機能が使えない(Shader GraphはUnity 2021.2以降のBuilt-InターゲットでLit/Unlitとも対応。ただし一部ノードに制限あり)
  • URPに比べてパフォーマンスが劣る

適したプロジェクト

  • ゲームジャムや試作(セットアップの手間を省きたい)
  • 古いアセットを使う必要がある場合
  • レガシープロジェクトのメンテナンス
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Universal Render Pipeline(URP)

特徴

Built-inの後継として開発された新しいレンダーパイプラインです(旧称:LWRP)。

  • あらゆるプラットフォームに対応
  • 描画処理が軽量で最適化されている
  • Shader Graph、VFX Graphなどの新機能が使える
  • 2Dライティングが使える
  • 今後のUnityの標準となる予定

2D vs 3Dテンプレート: 2DゲームでURPを使う場合、プロジェクト作成時に「2D (URP)」テンプレートを選択してください。2D Rendererが設定済みで、2Dライティングがすぐに使えます。

利点

  • 描画処理が最も軽い(Batchesが少ない)
  • モバイルからハイエンドPCまで幅広く対応
  • 新機能が使える
  • Built-inの多くの機能をカバー(ただしSurface Shaderは非対応)
  • 今後も機能追加が継続される
  • カスタマイズ可能(C#でレンダリングパスを追加)

Forward vs Forward+レンダリングパス

パスライト数制限対応バージョン
Forwardリアルタイムライト4つまでUnity 2019以降
Forward+大幅に緩和(数百個対応)Unity 2022.2以降

Forward+: 多数のライトを使用するシーンで有効です。URP Renderer Dataの「Rendering Path」で切り替え可能。

欠点

  • Built-inからの移行に手間がかかる
  • 古いアセットの互換性に問題がある場合がある
  • セットアップが必要
  • Surface Shaderが使えない - カスタムシェーダーの書き換えが必要な場合がある

適したプロジェクト

  • スマホゲーム
  • VRゲーム
  • 2Dゲーム
  • パフォーマンスを重視するプロジェクト
  • 幅広いプラットフォームに対応したいプロジェクト
  • 新規プロジェクト全般

High Definition Render Pipeline(HDRP)

特徴

ハイエンドなグラフィックスに特化したレンダーパイプラインです。

  • AAAタイトル並みの写実的な表現が可能
  • 物理ベースレンダリング(PBR)
  • 物理ベースのライティング(Physical Light Units)
  • 物理カメラ(現実のカメラと同じ単位)
  • 高度なマテリアル表現
  • ボリュームレンダリング、レイトレーシング対応

利点

  • 最高品質のグラフィックス
  • 写実的な表現が可能
  • 現実の単位が使える(物理ベース)
  • レイトレーシング

欠点

  • 処理負荷が高い
  • ハイエンドPCまたはコンソールが必要
  • モバイル、Switch、WebGLは非対応
  • セットアップが複雑、学習コストが高い
  • 物理法則への理解が必要

適したプロジェクト

  • AAAタイトル並みの写実的な3D表現が必要なゲーム
  • ハイエンドPC向けゲーム
  • 建築ビジュアライゼーション
  • 映像制作
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選び方のガイドライン

レンダーパイプラインの選び方フローチャート。モバイル・VR・WebGLに出すならURP、写実的なハイエンド表現が主役ならHDRP、ジャムや古いアセット流用ならBuilt-in、迷ったらURP

URPを選ぶべき場合

  • スマホゲームを作る
  • VRゲームを作る
  • パフォーマンスを重視する
  • 幅広いプラットフォームに対応したい
  • 新機能を使いたい
  • 迷ったらとりあえずURP

HDRPを選ぶべき場合

  • AAAタイトル並みの写実的な表現が必要
  • ハイエンドPC、コンソール専用
  • 建築ビジュアライゼーション
  • 映像制作

Built-inを選ぶべき場合

  • ゲームジャムや試作(セットアップの手間を省きたい)
  • 古いアセットを使う必要がある
  • レガシープロジェクトのメンテナンス

機能比較

シェーダー

機能Built-inURPHDRP
Shader Graph○(2021.2以降)
Surface Shader××

Built-inのShader Graph対応: Unity 2021.2(Shader Graph 12)以降は、Built-in RPにも Built-Inターゲット が用意され、 LitとUnlitの両方 のShader Graphが作れます。「Built-inはUnlitのみ」という情報は古いShader Graphの話なので注意してください。ただし機能追加はURP/HDRP向けが先行しており、Built-Inターゲットでは使えないノード・設定も一部あります(本表はUnity 6/6000.0時点の確認です)。

その他の機能

機能Built-inURPHDRP
VFX Graph×
2D Lighting××
Volumetric Fog××
レイトレーシング××
Decals×

移行について

Built-inからURPへの移行

Render Pipeline Converterの使い方

  1. Window > Rendering > Render Pipeline Converterを開く
  2. 左側で変換元(Built-in)と変換先(URP)を選択
  3. 変換項目にチェック:
    • Material Upgrade: マテリアルをURP対応に変換
    • Animation Clip Converter: アニメーションクリップを変換
    • Read-only Material Converter: パッケージ内マテリアルを変換
  4. Initialize Converters をクリック
  5. 変換対象を確認し、Convert Assets をクリック

移行後の調整

  1. マテリアルを変換(Render Pipeline Converter)
  2. ライティングを調整(明るさが変わることがある)
  3. ポストプロセッシングを再設定(VolumeベースのURPポストプロセッシングに)
  4. カスタムシェーダーを書き換え(必要な場合)

移行の注意点

  • 一部のアセットは互換性がない
  • カスタムシェーダーは書き換えが必要
  • ライティングの見た目が変わる可能性がある
  • パフォーマンスを再測定する必要がある

プロジェクトの規模と残り期間を考慮して判断してください。 大規模プロジェクトで期限が近い場合は移行しない方が無難です。

Built-inからURPへの移行手順。Render Pipeline Converterでマテリアル変換→ライティング調整→ポストプロセッシング再設定→カスタムシェーダー書き換えの4段階

Unity 6(2025)の変更: Unity 6ではURPでRender Graphがデフォルトで有効になります。ただし、Compatibility Mode を使用することで従来のRenderer Featureも動作可能です。移行期間中はCompatibility Modeを活用し、段階的にRender Graph対応に移行することを推奨します。

実践:自分のプロジェクトで診断する

比較表を眺めるより、実際の企画に当てはめるのが早道です。よくあるプロジェクト像で診断してみます。

あなたのプロジェクト診断理由
スマホ向けカジュアルパズルURP(2Dテンプレート)モバイル必須+2Dライティングが使える
Quest向けVRアクションURPモバイルVRはHDRP非対応。軽さが命
Steam向けフォトリアルホラーHDRP写実表現が主役でPC専用なら本領発揮
48時間ゲームジャムURP(迷うならBuilt-in)テンプレートのままなら設定不要。古アセット流用ならBuilt-in
Switch/PC同時発売の3DアドベンチャーURPSwitch対応が必要な時点でHDRPは外れる
建築ビジュアライゼーションHDRP物理ベースライティングと写実性が要件そのもの

診断のコツは、「一番弱い出力先」から逆算することです。モバイル・Switch・WebGLがターゲットに1つでも入っていれば、その時点でHDRPは選択肢から消えます。逆に「PC専用で写実が主役」と言い切れるときだけHDRPが候補に残ります。

ポイントは2つです。 「対応プラットフォームで先に絞る」 ことと、 「迷ったらURP」。URPで始めれば、モバイルにもPCにも出せて、Shader Graphポストプロセッシング などの現行機能もすべて使えます。

おまけ:先に知っておくと良いこと

  • プロジェクト作成後の確認方法: 「Project Settings > Graphics」の「Scriptable Render Pipeline Settings」にURP/HDRPのアセットが入っていればSRP、空ならBuilt-inです。「今どれで動いているか分からない」ときはここを見ます。
  • アセットストアの対応表記: アセット購入前に対応パイプラインを必ず確認してください。「Built-in only」のシェーダー・エフェクト系アセットは、URPではマゼンタ(ピンク)表示になります。
  • マゼンタ=シェーダー非対応のサイン: シーン中のオブジェクトが真っピンクになったら、それはマテリアルが現在のパイプラインに非対応という意味です。Render Pipeline Converterでの変換を試します。
  • 次に読む: URPを選んだら ポストプロセッシング入門 でBloomやColor Gradingを、シェーダーを作るなら Shader Graph入門 をどうぞ。

まとめ

Unityには3種類のレンダーパイプラインがあります。

パイプライン一言で言うと
Built-in従来のデフォルト、シンプルだが新機能なし
URP軽量・最適化、あらゆるプラットフォーム対応
HDRPハイエンド向け、写実的表現、処理負荷高い

新規プロジェクトでは、基本的にURPを選ぶのが無難です。迷ったらURP。

写実的な表現が必要でハイエンド専用ならHDRP、ゲームジャムや試作でセットアップの手間を省きたい場合はBuilt-inも選択肢になります。あなたの次のプロジェクト、一番弱い出力先はどこですか? そこから逆算すれば、答えはもう出ているはずです。

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