【Unity】Unity VFX Graph入門:GPUベースの高性能パーティクルシステム

作成: 2026-02-05

Unity VFX Graphの使い方を解説。GPUベースで大量のパーティクルを高パフォーマンスで表示できるビジュアルエフェクト作成ツールの基本構造、従来のParticle Systemとの違い、実践的な使い方を紹介します。

概要

「大量のパーティクルを表示したい…」「爆発や魔法のエフェクトを作りたい…」「もっと高度な表現がしたい…」

ゲーム開発では、このようなビジュアルエフェクトの課題に直面することがあります。VFX Graph は、Unity公式のビジュアルエフェクト作成ツールです。ノードベースのビジュアルロジックでエフェクトを作成し、GPUベースのパーティクルシステムで大量のパーティクルを高パフォーマンスで表示できます。

従来のParticle Systemとの違い

Particle System(Shuriken)

  • CPUベースのパーティクルシステム
  • Unity初期から存在
  • インスペクターで設定
  • モジュール式の設計
  • 衝突検出が可能
  • 設定が簡単、情報が豊富
  • 処理負荷が高くなりがち(数千個が限界)

VFX Graph

  • GPUベースのパーティクルシステム
  • ノードベースのグラフで設定
  • 大量のパーティクルを表示可能(数百万個も可能)
  • 衝突検出は限定的
  • 学習コストが高い
  • Shader Graphと統合可能
  • より高度な表現が可能

パフォーマンス比較

シナリオ推奨システム
大量のパーティクルを1つのシステムで表示VFX Graph(圧倒的に軽い)
多数の異なるエフェクトを同時に表示Particle System(軽い場合がある)
同じエフェクトを大量に配置VFX Graph(インスタンシングで軽い)

使い分けのポイント

VFX Graphを使うべき場合

  • 大量のパーティクルを表示したい(爆発、炎、煙、魔法など)
  • 高度な表現が必要
  • Shader Graphと連携したい
  • 同じエフェクトを大量に配置する

Particle Systemを使うべき場合

  • 衝突検出が必要
  • 素早く設定したい
  • シンプルなエフェクトで十分
  • 多数の異なるエフェクトを同時に表示する

VFX Graphの基本構造

2つの要素

VFX Graphは2つの要素で構成されます。

要素説明
Visual EffectコンポーネントGameObjectにアタッチ
Visual Effect Assetエフェクトの設定を格納

4つのコンテキストノード

VFX Graphのノードは 上から下 に向かってデータが流れます。

1. Spawnコンテキストノード

フレームごとの生成数を決定し、Initialize Particleに渡します。

  • Constant Spawn Rate - 一定の割合でSpawnイベントを発行
  • Burst - 一度に大量のパーティクルを生成

その他のSpawnブロック: Periodic Burst(一定間隔でバースト)、Variable Spawn Rate(動的に変化する生成レート)なども利用可能です。

2. Initialize Particleコンテキストノード

パーティクルの初期化を行います。

  • Capacity - 同時に表示できるパーティクルの最大数(下記目安参照)

プラットフォーム別Capacity目安:

プラットフォーム実用的なCapacity目安備考
ハイエンドPC100万〜500万GPU性能に大きく依存
ミドルレンジPC10万〜50万
コンソール10万〜100万プラットフォームによる
モバイル1万〜5万発熱・バッテリーにも注意

Capacityの見積もり: Capacityは「最大同時存在数」です。生成レート×寿命で実際の表示数を見積もり、過剰に設定するとVRAMを無駄に消費します。

  • Set LifeTime - パーティクルの寿命
  • Set Position Shape - パーティクルの初期位置(形状から生成)
  • Set Velocity - パーティクルの初期速度

3. Update Particleコンテキストノード

パーティクルの毎フレーム更新処理を行います。

  • Gravity - 重力を適用
  • Linear Drag - 抵抗を適用
  • Force - 力を適用
  • Collision - 衝突検出(限定的)

4. Output Particleコンテキストノード

パーティクルの最終的な描画設定を行います。

Outputの種類:

Output用途
Output Particle Quad板ポリゴン(最も一般的)
Output Particle Mesh3Dメッシュを使用
Output Particle Strip軌跡・リボン表現
Output Particle Pointポイントスプライト

主なブロック:

  • Orient - パーティクルの向き(ビルボードなど)
  • Set Size Over Life - 寿命に応じたサイズ変化
  • Set Color Over Life - 寿命に応じた色変化
  • Main Texture - 使用するテクスチャ
  • Blend Mode - アルファブレンドの設定

インストール方法

  1. Window > Package Manager を開く
  2. Unity Registryを選択
  3. Visual Effect Graphを選択
  4. Installボタンをクリック

URPプロジェクトでの追加設定

バージョン注記: URP 14以降(Unity 2023.1+)では、VFX Graphは特別な設定なしで動作します。以下はそれ以前のバージョン向けの手順です。

URPプロジェクトでは、URP Assetでの設定が必要な場合があります。

  1. URP Asset(Universal Render Pipeline Asset)を選択
  2. Renderer List から使用しているRendererを選択
  3. Renderer Features でVFX Graphが有効になっていることを確認

基本的な使い方

エフェクトの作成

  1. GameObject > Visual Effects > Visual Effect を選択
  2. Visual Effectコンポーネントがアタッチされたゲームオブジェクトが作成される
  3. Visual Effectコンポーネントの「New」ボタンをクリック
  4. テンプレートを選択(Simple Loop、Burst、Continuousなど)
  5. ファイル名を付けて保存

グラフの編集

  1. ProjectウィンドウのVisual Effect Assetをダブルクリック
  2. VFX Graphウィンドウが開く
  3. ノードを追加・編集してエフェクトをカスタマイズ

Learning Templatesの活用

Unity公式の学習用テンプレートを使って学習できます。

  1. Assets > Create > Visual Effects > Visual Effect Graph を選択
  2. Create New VFX Assetウィンドウで「Install Learning Templates」をクリック
  3. 様々なテンプレートが追加される

プログラムからの制御

イベントの送信

using UnityEngine;
using UnityEngine.VFX;

public class VFXController : MonoBehaviour
{
    VisualEffect visualEffect;

    void Start()
    {
        visualEffect = GetComponent<VisualEffect>();
    }

    public void Play()
    {
        // デフォルトイベント
        visualEffect.SendEvent(VisualEffectAsset.PlayEventName);  // OnPlay
    }

    public void Stop()
    {
        visualEffect.SendEvent(VisualEffectAsset.StopEventName);  // OnStop
    }

    public void SendCustomEvent()
    {
        // カスタムイベント
        visualEffect.SendEvent("CustomEventName");
    }
}

高パフォーマンスな方法(IDを使用)

public static readonly int CustomEventID = Shader.PropertyToID("CustomEventName");

void SendEvent()
{
    visualEffect.SendEvent(CustomEventID);
}

プロパティの設定

VFX GraphのBlackboardで定義したプロパティをスクリプトから設定できます。

// 各種プロパティの設定
visualEffect.SetFloat("SpawnRate", 100f);
visualEffect.SetVector3("EmitterPosition", transform.position);
visualEffect.SetTexture("MainTexture", myTexture);
visualEffect.SetGradient("ColorGradient", myGradient);

// プロパティの取得
float rate = visualEffect.GetFloat("SpawnRate");

// デバッグ: 現在のパーティクル数を確認
// aliveParticleCountはGPU Readbackで取得するため、
// 1〜2フレームの遅延があります。
// パーティクルにLifetimeが設定されていない場合、
// すべてのパーティクルが永続的にaliveとなります。
int aliveCount = visualEffect.aliveParticleCount;

Exposed Property: Blackboardでプロパティを作成する際、Exposed にチェックを入れないとスクリプトからアクセスできません。

パフォーマンス: 頻繁に呼び出す場合はShader.PropertyToID()でIDを事前取得し、SetFloat(int id, float value)を使用してください。

パラメータ付きイベントの送信

VFXEventAttributeを使って、位置や色などのパラメータを動的に渡せます。

public void SpawnAtPosition(Vector3 position, Color color)
{
    VFXEventAttribute eventAttribute = visualEffect.CreateVFXEventAttribute();
    eventAttribute.SetVector3("position", position);
    eventAttribute.SetVector4("color", new Vector4(color.r, color.g, color.b, color.a));
    visualEffect.SendEvent("OnSpawn", eventAttribute);
}

VFX Graph側の設定: Initialize ParticleコンテキストでGet Source Attributeブロック(position、colorなど)を追加し、Eventから渡されたパラメータを受け取ります。

初期状態で停止させる方法

以下のいずれかの方法を使用します:

  1. Initial Event Nameを空に設定 - 自動再生を無効化
  2. Initial Event Nameに独自のイベント名を設定 - 手動でイベントを送信するまで開始しない

よくある使用例

大規模なパーティクルエフェクト

  • 爆発、炎、煙
  • 魔法エフェクト
  • 雨、雪
  • 星空、花火

環境エフェクト

  • 風に舞う葉

UI エフェクト

  • ボタンのパーティクル
  • トランジション
  • 背景エフェクト

システム要件

対応レンダーパイプライン

パイプライン対応
Universal Render Pipeline (URP)
High Definition Render Pipeline (HDRP)
Built-in Render Pipeline△(Unity 6以降で限定サポート)

Built-in RP対応: Unity 6以降ではBuilt-in Render PipelineでもVFX Graphが使用可能になりましたが、一部機能に制限があります。新規プロジェクトではURP/HDRPを推奨します。

対応プラットフォーム

  • PC(Windows、Mac、Linux)
  • コンソール(PlayStation、Xbox)
  • モバイル(iOS、Android)- 一部制限あり
  • WebGL - 一部制限あり

GPU要件

  • Compute ShaderをサポートするGPU
  • DirectX 11以上、OpenGL ES 3.1以上、Vulkan、Metal

モバイルでの注意点

項目推奨値
最小要件OpenGL ES 3.1以上(Android)/ Metal(iOS)
パーティクル数1万〜5万個程度が実用的な上限
Capacity設定必要最小限に抑える

モバイル最適化: モバイルではCapacityを小さく設定し、複雑なノードグラフを避けてください。古いデバイスではCompute Shaderが非対応の場合があります。

モバイルでの主な制限:

  • Output Particle Stripが非対応の場合がある
  • Compute Shader非対応の古いデバイスでは動作しない
  • SampleGradientノードの精度が低い場合がある
  • デバイスの発熱によりGPUスロットリングが発生しやすい

Shader Graphとの連携

VFX GraphはShader Graphと統合でき、カスタムシェーダーでパーティクルを描画できます。

連携手順

  1. Shader Graph作成: VFX Graph用のShader Graphを作成
    • URP: Create > Shader Graph > URP > VFX Shader Graph
    • HDRP: Create > Shader Graph > HDRP > VFX Shader Graph
  2. Outputの設定: Output ParticleコンテキストでShader Graphオプションを選択
  3. シェーダーの割り当て: 作成したVFX Shader Graphをドラッグ&ドロップ

用途: ディストーション、カスタムライティング、特殊な歪みエフェクトなど、標準のブレンドモードでは実現できない表現に使用します。

SDF(Signed Distance Field)の活用

VFX Graphの特徴的な機能として、SDFを使ってメッシュの形状に沿ったパーティクル生成や衝突検出が可能です。

Window > Visual Effects > Utilities > SDF Bake ToolでメッシュからSDFテクスチャを生成できます。

Output Event

パーティクルが消滅したタイミングでC#側にイベントを送信できます。ダメージ数値の表示やサウンドの再生トリガーなどに使用します。

注意点

衝突検出の制限

VFX Graphの衝突検出は限定的です。複雑な衝突が必要な場合はParticle Systemを使用してください。

学習コスト

ノードベースのため、最初は学習コストが高いです。Particle Systemに慣れている人は、最初は戸惑うかもしれません。Learning Templatesを活用して学習することをお勧めします。

レンダーパイプライン

URPまたはHDRPでの使用を推奨します。Unity 6以降ではBuilt-in Render Pipelineでも限定的にサポートされていますが、一部機能に制限があります。

まとめ

VFX Graphは、GPUベースの高パフォーマンスなパーティクルシステムです。

  • GPUベース - 大量のパーティクルを高パフォーマンスで表示(数百万個も可能)
  • ノードベース - ビジュアルロジックでエフェクトを作成
  • Shader Graph統合 - カスタムシェーダーと連携可能
  • 4つのコンテキスト - Spawn、Initialize、Update、Outputで構成
用途推奨システム
大量パーティクル、高度な表現VFX Graph
衝突検出、シンプルなエフェクトParticle System

プロジェクトの要件に応じて、適切なパーティクルシステムを選択してください。